小学英語に要注意
2023年5月21日 Vol.970
つばめ学院は埼玉県和光市にある「生徒を元気にする塾」です。
今日は小学生の英語について書こうと思います。
むやみに危機感をあおるつもりはないのですが、私の課題意識を今日のブログで共有できたらと思っています。
新しい学習指導要領によって、2020年から小5と小6の英語が教科化しました。
お父さんやお母さんの時代は「英語の勉強は中1から」が当たり前でしたが、今は小5から英語の勉強が始まっています。
新たに始まった「小学英語」ですが、非常に英会話的な側面が強いものになっていますので、それに伴った課題や認識のズレも目立ってきています。
表現が難しい!
普通に考えると、小学生の英語ですから、私達が中学生の時に学習していた内容より易しいものを学習するイメージを持たれるのではないでしょうか。
しかし、いまの小学英語は難しいんです。
私のもとにも、小学生の保護者の方々から「うちの子、どうも学校の英語が分かってないようなんですけど」というご相談が数多く寄せられています。
実際にどの程度難しいのか、塾の教材で例文を示します。
小5
What do you do on New Year’s Day? (あなたは元日に何をしますか。)
- I usually play karuta.( わたしはたいてい、かるたをします。)
小6
We saw many temples.(わたしはたくさんの寺を見ました。)
I enjoyed talking with my friends.(わたしは友達と話すことを楽しみました。)
どうでしょう。びっくりするくらい難しいですよね。これが学校の教科書に準拠したテキストの例文なんです。
小5の例文では、代動詞と言われるdoが出てきています。さらにその返答では、頻度を表す副詞と呼ばれるusuallyがあります。usuallyはどこに置けば良いのか迷う子が多い単語のひとつです。
小6の例文になると、過去形の動詞が2つ(saw,enjoyed)出てきますが、それぞれが規則変化と不規則変化で違っています。
これらの文章を「理解できる」ように説明しようとすると、非常に高度な知識が必要になります。
分からせようとしていない
小学英語に関しては、親子の認識のギャップが非常に大きいんです。
小学生のお子さんが、お家で英語の宿題をしているとします。
Do you play basketball?
なんて文章を書いていると、大人の感覚からすれば、
「じゃあ、私はテニスが好きです。ってどう言うの?」と質問してしまいたくなりませんか。
一般動詞の疑問文を学習しているのであれば、当然、同じような一般動詞の肯定文は理解しているはずだし、有名な動詞の1つであるlikeくらいは知っておいて欲しいと期待してしまいます。
ところが、この質問に答えられない小学生は多いと思います。
そもそも小学英語では細かい文法的な説明はほとんどされていません。
「こういう時になんて言うのか」を個別に覚えていっているだけなので、単語を変える程度のことはできても、そこから派生する英文をつくることはできない方が自然です。
そもそも「分からせよう」として作られていない小学英語をやった小学生が「分からない」のは当然です。
文法的な理屈が頭に入ってきて、「分かる」という感覚ができるのは中学以降の英文法をしっかり学習してからと思って頂いた方が良いです。
どうすれば良いのか
「じゃあどうすれば良いんですか」という声が聞こえてきそうなので、その点について3つほどお伝えします。
まず1つは「しっかり書かせる」ことを大切にして欲しいのです。
小学英語で決定的に欠けていると私が感じるのは「書くこと」です。
英語の表現や単語を「言える」けれど「書けない」という子が非常に増えている印象があります。
先ほど例示したように、疑問詞や過去形を使うことはできても
one,two,three,four,five,six,seven,eight,nine,ten
を何も見ないで書ける小学生は少ないです。しかし、中学生になるとそれらは「学習済み」で扱われてしまっているのです。このギャップをしっかり埋めておくことがとても大切です。
もう1点が、「小学英語には自分たちが学習した方法とは違う教え方がある」ことを知っておいてもらうことです。
仮にお子さんが My brother can swim fast.と書いていたとしても、その子の中に「助動詞」という概念はないですし、swimにsがつくかつかないかという判断もしていません。
「そういうもの」と認識しているだけです。
「見る」はseeで、「見た」はsawなんです。
一般動詞の過去形の不規則変化、とは思っていません。
塾の現場でも大学生の講師などは小学英語に戸惑います。
自分の学んできた「説明」が小学生には全く通じないからです。(そのくせ、目の前にある表現は非常に難しい)
お子さんが文法的な理解を必要としている場合には、それなりのフォローをしてあげられる環境が大切ですが、全部を説明しようとすると膨大な時間がかかってしまう側面もあるのが現実です。
私達の世代が全く経験したことのない「小学英語」いまお子さんの前に存在しています。
是非とも適切な形で向き合って頂きたいです。もしご不安があれば我々のような専門の人間にご相談も頂ければ幸いです。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。