「覚える」ことが簡単になる話
2022年6月29日 Vol.945
つばめ学院は埼玉県和光市にある「生徒を元気にする塾」です。
塾長の関口です。
いよいよ明日から1学期の期末試験が始まります。
特に大和中の1年生にとっては中学初の試験です。楽しみですね。
この期末試験対策で「暗記科目」に苦労した生徒も多かったのではないかと思います。
保護者の方とお話をすると、「暗記科目はただ覚えるだけなのに、それをしていないのは理解ができない」なんてお話も良く聞きます。
今日は今回の試験対策で生徒に指導する中で見えたことも含めて、「より簡単に覚えるコツ」をご紹介します。
記憶のメカニズム
多く生徒が記憶のメカニズムを誤解しています。
それは「情報量は少ない方が覚えやすく、多い方が覚えにくい」という事です。
これが全ての間違いのもとで、記憶は基本的に「結びつく情報の多さ」で強さが決まります。覚えようとする情報に関連情報をたくさんつけると、それだけで記憶の定着は良くなります。
数が少ない方が覚えやすいというのは完全な間違いなんですが、そのイメージを持ったまま暗記をしようとするとかなり非効率なやり方になってしまいます。
メカニズムを簡単に理解してもらう手っ取り早い例が「語呂合わせ」です。
794年平安京への遷都 (鳴くよ(794)うぐいす 平安京)
この場合、「794年」という年号と「平安京への遷都」を覚えることが目的なんで、それ以外の情報は不要なはずです。
しかし、無味乾燥な「794年」という年号に「鳴くようぐいす」をあてて、遷都したばかりの平安京でうぐいすが鳴く情景を思い描くことで明らかに記憶の定着は良くなるのです。
この原理を勉強に積極的に活かすことで、暗記の効率を飛躍的に高めることが可能です。
期末試験の勉強から
この期末試験で地理に挑む中1生の勉強を見ていました。
一問一答形式の暗記をまず固めるのですが、ただやみくもに覚えるのではなく「つながり」を意識してもらうだけでかなり効率的に暗記を進めてもらうことができました。
例えばこんな問題です。
標高が高い地域に見られる、低緯度でも気温が低いなどの特徴がある気候を何というか。(答え:高山気候)
「この低緯度ってどういう意味か分かる?」
「低い緯度?」
「そのとおり!緯度が低いってことは、0度とか10度とか数字が少ないってことだよね。で、緯度の0度ってどんなところだっけ?」
「えーっと、赤道?」
「素晴らしい!!低緯度ってサラリと書いてあるけど、これ赤道に近いって意味だよね。赤道に近いってのは、普通は暑いってことだよ。この問題は”低緯度でも気温が低い”んだよね。なんでか?標高の高い高山にある地域だからだよね。」
別のお話では「冷帯」と「寒帯」の話を補足しました。
一年の大半が雪や氷でおおわれ、寒さの厳しい気候帯を何というか。答え:寒帯
冬の寒さが厳しく、夏には気温が上がる気候帯を何というか。答え:冷帯(亜寒帯)
「まあ、メッチャ寒くて厳しいところが寒帯。ロシアのシベリア地方とかね。で、冷帯は寒帯までいかずに夏になるとまあまあ気温が上がる地域なんで、日本の北海道とかも冷帯ね。」
「あの、、、どっちがどっちか混乱するんですけど」
「確かに!この亜っていう字は”次ぐ”って意味があるんだよ。亜寒帯は”寒帯に次ぐ寒さ”だから、寒帯の方が寒くて、亜寒帯の方が少し穏やかって意味。亜寒帯=冷帯を覚えておけば寒帯と冷帯のどちらが寒いかは迷わないよね。」
「冷帯でも亜寒帯でも良いなら冷帯だけ覚えようとしてた。。。」
「それだと混乱したままの知識になりそうだよね。亜のついた言葉に”亜流”って言葉があるんだけど、これは一流を真似るだけで独創性のないものや人の事を言う。一流に”次ぐ”だけだから亜流。亜の意味も頭に定着したね。」
たかが暗記、されど暗記
「覚えるだけ」とは言いますが、それを「覚えるだけ」の作業にしてしまうのか、そこから派生する知識を駆使して「簡単で忘れにくい記憶」として定着させるのかでは大きな差になります。
生徒達には「覚えにくいことがあったら、関心が足りないか情報が足りないか」だと伝えています。
急に関心を高めることはできませんが、関連情報を増やすことは一人でもできます。どうして良いか分からない場合は徹底的に教科書を読み込めば言いのです。太字や赤字「だけ」を覚えようとすれば、逆に知識の定着効率が一気に下がります。
お子さんは「太字・赤字だけ」を覚えようとしていませんか?
最後まで読んで頂いてありがとうございます。